ちてはこ菓子店

お客様に来ていただけないのなら こちらからお客様の元に出かけていこう。 それが現在の「お菓子の製造と販売&催事出店」 という業態を選んだきっかけでした。
でも、私たちは何を売れば良いのだろう? 私たちに出来ること。私たちが得意なこと。 そして、未来を育ててくれるものを 私たちは探し始めました。

まだカフェを開店する前。私たちは良く京都や神戸のカフェを巡ったり、菓子店を巡ったりしていました。  あれは京都の烏丸あたりを散策していた時でした。私たちは以前から気になっていたお店に入りました。そこは「ミディ・アプレ・ミディ」というタルト屋さんでした。エントランスを入ると大きなガラスショーケースの中に宝石を並べるように沢山のタルトが並んでいました。どのタルトも美しく仕上がっていて、店内にはイートインのコーナーもあって買ったタルトと飲み物を味わうことができました。  私たちはそれぞれ気になったタルトを購入して食べることにしました。私はナッツのタルトを頼みました。  今でこそ生フルーツをのせたタルトが主流ですが、その店のタルトは焼き込んであってしかもとても美しい仕上がりでした。そして何より驚いたのはそのおいしさでした。  私たちはいくつかタルトを買って帰り家でも食べてそのおいしさを確かめました。その時に「これだ!」と感じ、私たちは「タルト専門店」に向けて動き出したのでした。
「ミディ・アプレ・ミディ」ではレシピ本も出していましたが、そのまま私たちが真似ることよりも、出来る限り自分たちのオリジナルを作ることを心がけました。タルトは味ももちろんですが様々な風味が混ざり合うことで極上のおいしさを生み出すことができます。  私たちは「生フルーツ」ではなくフルーツの風味を残しながら「コンフィチュール」を炊き込むことを選びました。  相方の田舎の叔母が柑橘の「はっさく」のマーマレードの作り方を教えてくれたことが始まりでした。  通常はマーマレードを作る時には皮の苦みを抑えるために何度も煮こぼしながら作るのですが、私たちは刻んだ柑橘の皮を水洗いします。このほうが風味が残り、微かにのこる苦味も良いアクセントになることがわかりました。  こうして私たちは数種類のタルトのレシピを作り上げ、販売に向けて動き始めたのでした。

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