大豆には加工方法で違った食感を作れるという特性がある。
食べられなくて物足りなくなるだろう料理がいくつかあった。
「カレー」と「カツ(フライ)」。
カレーはタイ風のとろみのないカレーならカレー粉に小麦粉が含まれていないものを使えば(ガラムマサラなど)カロリーは抑えられるけれど、日常的に食べているとろみのある洋風カレーのルウには糖質が多く含まれていてカロリーも高いので食べることができない。
カレーを食べた翌日に体重が増えた経験はないだろうか?ご飯の量を減らしてもなかなか体重は減らない。そこで大豆の水煮を買ってきてミキサーにかけてみた。見た目はドロドロだけど食欲をそそる感じではない。そこにトマトの水煮と玉ねぎ、カレー粉、生姜、ニンニクを加えてもう一度ミキサーにかけ煮込んでみた。見た目はまさしく欧風カレー。そこに入れる具を肉の代わりに高野豆腐を少なめの生姜と醤油、ラカント溶かしてを霧吹きのように湿らせて(漬け込むと柔らかくなりすぎて歯応えがなくなる)油で揚げた。つまり高野豆腐の唐揚げを作って、出来上がったカレーに投入した。ある程度のかみごたえを残して肉の代用品にした。
つまり、このカレーはルウも具も大豆から出来ている。多少の牛乳を加えたり少量のバターで香り付けをしても通常のカレーよりははるかに糖質が少なく、カロリーも抑えられる。
このカレーに変えてから、食べた後体重が増えることは無くなった。
カツやフライを作るときはパン粉の代わりに荒めのおからパウダーを使った。見た目はパン粉。衣をつけるのに小麦粉は使わず。卵のみを使用。こうすれば糖質ではなくタンパク質のみでフライを揚げることが出来る。そして食感もサクサク。
食べるときに少し豆を炒ったような香ばしさを感じるけれど、それはそれで美味しい。
こうして課題だった食べ応えがあって低カロリーな料理を2種作ることができた。ずいぶん食生活のバリエーションを増やすことができた。
大豆の水煮のとろみはシチュー類やグラタンなどにも応用が効く。よく極端に油脂や生クリームなどを制限する人がいるけれど、ほんの少量(一人前に中さじ1程度)で十分に旨みや香が芳醇になるので、分量を減らして香づけに使うと食卓が豊かになるし、その程度の分量であれば血糖値が急激に上がったりすることはない。
過ぎたるは猶及ばざるが如しというように、極端な制限は体調を崩す原因になる。ステーキだって赤身ならそれほど気にすることはない。上質のタンパク質は腹持ちを良くして空腹感を抑えるのに有効なので、ステーキが気になるのであれば鶏の胸肉などを上手に食事に取り入れるのが良い。
鶏の胸肉は火の入れ方でパサパサになるので敬遠する人もいるけれど、これにもコツがある。胸肉は火を入れすぎると水分が抜けてしまって硬くてパサパサした感じになってしまう。最近流行りの「低温調理」は水分が抜けずに美味しく仕上がる。でも普通のフライパンでも同様の調理はできる。
イタリアの鶏肉料理で「小悪魔焼き」という技法がある。皮はパリパリ、肉はジューシーに焼き上げるこの方法は強い火力で皮面を焼くのではない。
塩コショウ(だけでも十分。塩はややキツめ)とローズマリーなどを少量のオリーブオイルを引いたフライパンでごく弱火でじっくり焼く。蓋はしない。コツはひっくり返さないこと。両面をこんがり、と思っている人も多いかもしれないけれど、肉面を焼くときに水分が逃げてしまうので、皮面を弱火でじっくり焼くと10分くらいで皮から脂が溶け出して、その油で皮が揚げられているようになる。20分ぐらい焼くと皮面はこんがりと狐色になってくる。
胸肉は厚みがあるから、心配だったら肉面に切り込みをいくつか入れて、私はその切り込みにローズマリーを挟んで焼く。皮面から肉の厚みの中ほどまで色が変わってきたら、初めて肉をひっくり返し肉面の表面を焼く(3分ほど)。肉面に薄く焼き色がついたら焼き過ぎず、もう一度皮面を下にして全体に火が通る前に火を止めて蓋をして予熱だけで火を通す。
最後まで蓋をしない方法が本当は美味しいのだが(蓋をするとどうしても水分が逃げてしまう)、もも肉の場合は火の通りが早いが胸肉は厚い分火の通りが遅いので蓋をしたまま20分ほど蒸らす。肉が盛り上がってプクんとして、指で押しても押し返すような弾力が出たら、包丁で切って中まで色が変わっていたら火が通っているので切り分けて皿に盛る。外はパリッと中はジューシー。
オーブンで上下火で焼くと同じように焼けるけど、どちらにせよ予熱で焼き上げるのがコツ。肉の芯まで強く火が通ると中の水分が外に出てしまうので、あくまでどの焼き方も予熱で仕上げるのが大事。
低温調理の場合も身が締まるほど火を入れると水分が出てしまうので、65度〜70度程度の温度で身が縮まないように火を入れるのも同じ原理。
でも最近低温調理の温度が低すぎて耐熱性の細菌が死滅していない状態で食べてトラブルになる事例もあるのでお気をつけください。
鶏でも豚肉でも牛肉でも「肉汁」が滲み出ないで細菌は死滅するギリギリの焼き加減(牛肉はレアもあるけど)で調理するのが美味しいとされている。「肉汁」は旨みなので逃したくない。どんな調理法でも美味しい方が良い。
低糖質の話から脱線したけれど、鶏の胸肉やササミ、豚肉の赤身、牛肉の赤身を上手く料理に加えることは満腹感を得て、糖質を下げるのに役立つ。
脂身は大量に摂るとコレステロール値に影響があるから、炒め油を植物性のものに替えるとか、脂身は極力除くなどの工夫は必要。
でも、美味しくなくて満腹感を得られない糖質や油分を抑えた食事は長続きしないから、美味しく食べて、しかもカロリーや糖質を控える工夫は必要だと思う。